藤紀の部屋は
相変わらず物が無くてガランとしている。

まるで誰も住んでいないような…少しの私物と白いベッド。

あたしはベッドに座って部屋を眺めてみた。


もしかして、藤紀はいつでも出て行けるように荷物を少なくしてるんじゃないの?

ふと、そんな風に思った。

何の為に?
サラと生活してた時もこうだったの?

あたしは藤紀のベッドに横になる。

藤紀の匂い…ベッドの主が数日不在でも、彼の温もりが残ってる気がした。

確かに彼は存在してるのに…何故こんな部屋にするの?

─藤紀って…どんな人なんだろう?
あたしの知らない藤紀の一面。どんな人生を送ってきて何を思っているのか…

わかんない
わかんないけど

あたしは…藤紀がどんな人だって逃げたりしない
ずっと好きだと思うよ

そんなの思い込みかな?ハルトにもそう感じてたのに…だけど裏切られたりした。

次の恋は慎重になるトコロだけど、藤紀は裏切ったりしないと思っていた。
あたし…学習能力ないのかな?

でも信じていられた

彼はいつだって周りを大切にしていて

あたしはサラにさえも嫉妬しちゃうくらいなんだ


でも…もうダメなんだよね。嫌われちゃったから…