藤紀は何日も帰ってこなかった。

「サラ…藤紀はどうして帰ってこないのかな…?」

今夜もサラは晩御飯を二人分しか用意していない。

あたしはサラに理由を尋ねた。
あたしには連絡してこなくても、サラにはちゃんと連絡してるはずだろうから。

そして予想通りにサラが答えてくれた。

「実家で何か…用事があったみたいよ?」

「…もう帰ってこないのかな…」

「何言ってんの。用が済んだらすぐに帰ってくるでしょ」

「…そうじゃなくて…あたし嫌われたみたいだから」

「嫌われた?」

サラは怪訝な顔をした。

「うん…あたしウザイのかな?しつこいし…やたらと絡むし…だから最近ムシされてて。だから家にいるのもイヤになったんじゃないかなって」

毎日怖かった。
もう彼に会えないんじゃないかって考えちゃうの。

「私は…何にも聞いてないけど…嫌ってるワケじゃないと思う」

サラのフォローにも希望なんて持てなかった。

「ううん…完璧嫌われたって肌でわかるくらい前と雰囲気が違うもん。多分…あたし失恋しちゃったんだね」

「そんな事…!」

「ゴメンね…あたしが出て行かないと藤紀がこの部屋に帰ってこれないよね…」