あとちょっとで、てがとどくとおもったとき


 〈ガターン!!!〉


めのまえが、まっくらになった。

いすからおちた!!!!


《うわぁぁーん!!いたい~いたいよ~!!》


《りん!ドコ!?うでがいたいの?》

ママがあわてて、あたしをだきかかえた。

《いたいよーママぁー!!》

うでがすごくいたい!!

《パパ!!りんが…!!》

《だいじょうぶか!?りん!すぐびょういんにいこうな!!》

パパの大きなうでのなかで、いたいのをがまんしながら…びょういんにいった…


おぼえてるよ…



あたしはこのとき、うでを『こっせつ』したの…









この人がママ…

…そしてパパ




懐かしい温もり

懐かしい声



…どうして忘れていたんだろう

大切な人達だったのに


それ以外には思い出せなかったけれど…
彼らの名前も住んでいた場所も思い出せてないけれど…


あたし思い出した…


あたしの人生で初めて

魂に刻まれた記憶



催眠が解けても、あたしは泣いていた。

さっき見た記憶の中の
『さんさいのあたし』
みたいに


めちゃめちゃ大泣きしていた…