数日後…

とうとう、おれが外に出る日がやってきた。


約二年
一生外の空気なんか吸えないと思ってたのに

なんだか不思議だ。

一生見られないと思っていた空が…こんなに青く、広い。

たった数年─
それだけでこんなにも世界が違って見えるなんて…

─おれらしくない

そう思って、誰にも気付かれないように涙を拭った。

空を見ただけで
感動して涙が出るなんてな…


父親が迎えに来るまでの数分

おれはまだ山本先生に何度も念を押されていた。

「いいか?絶対に被害者家族とは会うなよ?場所にも近寄るな。それから…毎月一度は面談に…」

「わかった!わかってるよ!てか…被害者家族になんて会うワケないだろ?」

「何故そう言いきれる?偶然って事もあるだろ?」

「先生…日本には一億人以上いるんだし、それで偶然出会うってどんな確率だよ?あり得ないね!」

「じゃ…その確率でも出会ったら?」

「その事に気付いたらソイツの前から消える」

「…是非そうしてくれ」

山本先生はとりあえず納得した。

おれは模範回答を示しただけだ。

もし…生き残った娘に出会ったら?



決まってるじゃん




今度は殺してやるよ。