「は!?跡取り?冗談だろ?」

なにを血迷った事言ってんだ?

しかし父親は真面目な顔をして答えた。

「本気で言ってるんだよ。藤紀は…キミも知ってるだろうが、一人っ子で一人息子だ。しかし…自殺してしまった。私は跡取りが必要なんだ。私の戸籍上の親子であれば血の繋がりなんてどうでもいい」

「ふーん…」

それで?
後々トップの椅子には座らせるけど、後ろから操るって話だろ?

だから言ってみた。

「もし、おれが拒否る…もしくはアンタの見込み違いでボンクラ息子だった場合は?莫大な遺産や財産もくれるって言うのか?」

「それならそれで仕方ないだろう。北川家を守ってくれれば…それでいい」

「へーえ!アンタ頭オカシイんじゃないのか?」

「藤紀!いい加減にしろ!お前に選択肢なんてないんだ!それを自覚しろ!」

おれのワザとらしい暴言を聞いていた山本先生が、おれをいさめる。

「…はーい…」

何を言ってもムダなのはわかっていた。
ささやかな抵抗をしただけだ。

本気でどうにかなるなんて思ってないさ。


そして出所(?)日を決めたり、その後の生活についての打ち合わせをしたが

すぐに出られる事が
ほぼ決まっていた。