そして父親に会った。

想像していたよりもかっぷくのいい人だ。
中年らしく腹がたっぷりと出ていた。

面会には山本先生も同席して
今後の打ち合わせをする事になった。

「彼が…?『藤紀』になる子なんだね?」

「そうです」

父親は興味津々といったトコロで、じっくりとおれの顔や全身を見定めたあと
にこやかに笑って言った。

「似てるじゃないか!元気な頃の藤紀に!」

…そうなのか?
本物の『藤紀』が何故死んだのかはよくわからないが

似ていればいいって問題じゃねぇだろ?
中身も…魂だって違うんだから。

「'藤紀'これはスゴくツイてる話なんだぞ」

山本先生がおれの事を'藤紀'と呼ぶ事に少し抵抗を感じた。

違和感がある…
慣れないせいだな。

「何がツイてるんだ?」

「たまたまお前が北川さんのご子息に似ていたし、北川さんも金銭面から今後のお前の面倒まで見てくれるから出られるんだ。これからは…180°違う世界で生きられるんだぞ」

「おれの面倒って?すぐに成人するし…戸籍上とか、書類上だけなんじゃないの?」

「北川さんはたくさんの会社を経営する会社社長さんなんだ。お前を跡取りに…と言ってくださってるんだ」