「父親!?どういう事だ?まさか…」

「多分、その'まさか'だよ」

考えられるのは一つしかない…

「本当に居たんだな…?おれが今まで見てきた男は…おれがこれからなりすます男は…」

山本先生は冷ややかに笑い答えた。

「そうだよ。だからその父親が来るんだ。今回の我々のプロジェクトに理解がある人でね」

「プロジェクトだと…?まてよ!本人は?今どうしてる?」

「死んだに決まってるだろ?17歳の時…自宅で首を吊って死んだよ」

「だからって何でおれが代わりになるんだ?」

「似ていたからさ。頭も良かった。幸い、『彼』は日記をつけていたし…記憶を作り出すのは思ったより楽な作業だったしな」

「…最低な事ばっかりしやがって!」

「人殺しなんかしたお前に言われたくないね」

わかってるよ!
だけど…こんな事をしてプロジェクトだって言うコイツらが気に入らねぇ!

おれはイライラしながら…でもどうする事も出来なかった。



翌日─父親が訪れた。


もうすでに新しい人生は始まっている。

息子になりきる事

父親と…母親の為に
生きている事

新しい名前で生きていく










『北川藤紀』として…