父親が帰った後

あたしはヤツの体液まみれの身体を洗った。

あたしはお風呂が長い。いつだって汚れてる気がして、何度も洗うから。

キレイになんかなりっこないのにね


こんな汚れきった身体を…ハルトに愛してもらおうとしていたのかと自分でも呆れちゃう。
彼の事ばかり責められないのはわかっていたけど


知られたくなかった


こんな事。
父親から逃げても見つかり、いまだに身体の関係があるなんて

もう彼とは戻れないって気がした。

それ以前にあたし達の仲は壊れてしまっていたし…
やっぱりこうなる運命ってやつかな?

ハルトとラブラブで愛し合ってる時じゃなくてホントに良かったと思った。

そんな時にアイツにヤラれてたら…あたしきっと耐えられなかった。

あたしが幸せになるなんて、やっぱり叶わない夢なんだって、何度も思い知らされる。


涙も出なかった。


長いお風呂から出て身支度を整えると

少ない私物─ほとんどが服や下着だけど─をカバンにつめて
あたしは部屋から出た。

ミカちゃんと暮らした部屋…楽しかった場所も、今はヤツにバレてしまっていてヤバいから。
逃げなきゃ

あたしは歩きながら何度も振り返った。