不思議と死にたいとは思わなかった。

記憶は戻らないし、守ってもらえるはずの父親にはレイプされた。

もうこんなあたしはどうなってもいいと思っていた。

─あたしは汚れてる
自分に吐き気がするほど

   醜 い


だけど神様は助けてくれないから…


  自分の力で

  生きてやる


あんな男の為に自分の命を犠牲にするもんか
あんな男の為に全てを失うのが許せない


負けたくない
逃げたくない
逃げたくない


これ以上、汚れてゆく自分になんの希望も持てないけど

何をしたって生きてやる。

貪欲に生き抜く事だけ考える

本当の『あたし』を知る為に…生きる。
本当の『家族』を
いつか探し出したいから…生きる。


学校でクラスの子が
『援交』してるって聞いた。

今のあたしには
そんな事をしてでも生きる為なら構わないって思った。

キレイなままでいたら

きっと一人では生きていけなかっただろう。

あたしは汚されて
強くなった。

したたかに
ずる賢く

あたしは『あたし』を探す

それだけが生きていく    糧


ある日
あたしは学校に行くと言っていつも通りに家を出て

二度と家には戻らなかった。