初めての行為が終わっても

あたしは信じられずに呆然とベッドに横たわっていた。

父親はあたしの身体の上に放出した体液を優しく拭いた。

「初めてじゃ、まだそんなに良くなかったかな?そのうちもっとイイコト教えてやるからな。凛?わかってるな?これは二人だけの秘密だぞ」

いつもと変わらない
優しい口調…
だけど言葉の内容は到底、父親とは思えないセリフ。

そして満足そうに
「オヤスミ。また明日」

そう言って父親は部屋を出て行った。


あたしは怖くて
ただじっと・小さくうずくまり泣くしかなかった。

誰かに言ったら…殺されるかもしれない。

口調は優しいのに、どんなにイヤがっても
父親は最後まで『あたし』を─

…犯し続けた


そんな事がなんのためらいもなくできる人。

お母さんには?

言えない…
お母さんも危険な目にあうかもしれない。



─どうしてなの?



誰もあたしを助けてなんかくれなかった。


 神様なんかいない


 ヒーローもいない



一番助けてほしかった人にあたしはヤラれた

それなりに夢見ていた『初めて』を
こんなカタチで奪われるなんて

これが現実なんだって痛いほどわかった…