「ね、こっちに座って?」

あたしは促されるまま大きな鏡の前の椅子に座った。

どうやらみんなのメイク台のようだった。
部屋を見回すと、さっきまで何人かいたのに

誰一人いなくなってる。多分、お客が増えてきたのか、指名が入って店に出たのだろうと思った。

「サラは?仕事なんじゃないの」

「平気。今日は元々休みだから」

「…ごめんなさい」

迷惑かけてるって事に謝った。

「なんで謝るの?いいのよ、普段から休みでも店に入りびたってるんだから」

「休みでも?」

「居心地いいからね。ママもスゴくいい人だし」

「うん…そっか」


何だか…少し判る気がした。

「メイクしてあげるね」

「いいよ!!そんなの」

あたしが断ってもサラは強引に手早く下地を付け始めた。

あたしは…素直にサラにメイクしてもらう事にした。

何だかサラには逆らえない。強引なんだけど…イヤじゃないの。

「そういえば名前は?」

「藤堂…凛」

「凛か…。何歳?」

「17歳」

「学校行ってるの?」

「…一ヶ月前に家出してからは…行ってないの」

「そう…だからあんな事してたのね」

「うん…」


不思議な感じがした…