『…暗い…』

『…頭が重いなぁ…』

『まだ…熱が下がらないんだ…』

『…?…誰か…起きてるのかな…?』



《…それが【誰】なのか…あたしは見たの?》


《見たの?》


  《見たの?》


《見たの?》


 《ミ タ の!?》








 「……っ…!!」


─あたしは怖くて目が覚めた…

「夢…」

またあの悪夢…でも…少し違う…

なんだろう?

何か…思い出せそうなんだけど…


起きたばかりだったのと…夢を見ていた余韻でぼんやりとしていた頭が

徐々にハッキリしてきた。


あれ…ここドコ?


あたしのベッド?
いつ寝たんだっけ…?


「凛?起きたのか」

突然声をかけられ、あたしは驚いて声のする方を見た。

「藤紀…?」

「気分はどう?」

「えっと…藤紀…何でココにいるの?」

「…覚えてないのか?」

「何…を…」






  …あ…

あたし…

  …ハルトに…



「ハ…ハハハハ…ッ…」

「…凛?」

「そっか…そうだったんだよね…」

「凛…何があった?」

「何もかも…ムダだったみたい。藤紀、あたし騙されてたらしいよ!」