「藤紀ぃ…ヤダよ…こんなの…信じられない…っ」

「凛?!落ち着けって…何があった?」

藤紀が必死にあたしを落ち着かせようとしていたけど

あたしには藤紀の言葉は届かない


半ば錯乱して…多分意味不明な事ばかり言っていた気がする。


「怖い…もぉヤダ…!助けて…なんでハルトは裏切ったの…?」


イヤだ

  イヤだ…!!


こんなのってヒドすぎる!!

信じてたのに…

誰よりも何よりも

あたしの生きる糧となっていた…ハルトへの愛情

まるで運命の人なんじゃないかって思うくらい…大切にしてた恋

それを、こんなカタチで失うなんて!




「…凛…!」


ワケもわからずに…それでも藤紀はあたしを抱きしめてくれてた。


道の真ん中で

人通りのある中…あたしが大人しくなるまで

あたしから恐怖が消え去るまで…ずっと


強く抱きしめてくれていて…あたしもしがみついていた。



イヤな記憶が甦る…!


サラもハルトも藤紀もミカちゃんにも

知られたくないイヤな記憶があるの…


泣き叫び…疲れ果てた頃


藤紀はあたしを抱きかかえて

あたしの部屋へと向かった。