長い夜になりそうだと思った。

どう考えてもすぐにハルトは出てくるハズもないし。

常連客でもないから、あたしの為には抜けられないでしょ?

それにいくら店のNo.1,2くらいの売上あるホストだからって…

それなりに一生懸命仕事しなきゃ売上は取れないワケだし。


あたしは缶コーヒー片手にハルトを待った。

…する事がないから…考え事しちゃうの。

ハルトに会って言うセリフとか、
彼はどんな顔をしてくるのかな、とか…


こんな事して彼は怒るかもしれない、とか

考えるとキリがないよね。

別にホストがダメってワケじゃないの。

サラが言うようにハルトがあたしの事を想っての行動だったのなら…それは嬉しいって思うし。

あたしとの事が好きで本気で付き合ってたって言ってほしいの。


それから何分…何時間経ったのかな?

缶コーヒーも、とうの昔に飲みほして
足も痛くなってきた頃

ハルトがあたしの前に現れた。

「…凛」

「ハルト…良かった。裏口からこっそり逃げられなくて」

「バカ…こんな場所で何時間も待つな。ゴメンな…俺ん家行こう。俺、酒飲んでるからちゃんと話しできないかもしれないけど…」