後ろを振り返るとそこにいたのは女子生徒で、私を指差して立っていた。
明るい茶髪のショートヘアーで、寝癖なのか癖っ毛なのか分からないけどその髪は所々跳ねてる。



あの人は誰なの?
なんで私の名前知ってるわけ?



なんて聞く間もなく彼女は私の目の前まで走ってきた。



力強く私の手を両手で握って真っ直ぐに、そして輝かしい目で私を見つめる。



「アタシと…アタシと友達になろ!みーこ!」


「………は?」



やっと出た言葉がこれだった。



いきなり何?
ていうかこの状況分かって言ってんの?



そう言ってやる前に先に気付いたらしく、私と彼を交互に見た。



「あれ?もしかしてお取り込み中だった?」



もしかしなくてもこの状況見ればそうでしょう。



この子、絶対空気読めない子だ。



「もしかしなくてもそうでしょうが!
あと友達になるにはまず自分から名乗りなさいよ!」


「いたっ!痛いよ!乃々!」


「痛いのは七笑(ななえ)が悪いからよ。観念しな」


「えぇー!あーちゃんまで酷い!」



七笑と呼ばれた猪突猛進女は頭に赤いリボンカチューシャを付けた少女に拳骨を食らっていた。



そして後からやって来た両耳に三つずつピアスの穴が開いた少女に呆れられた。



こんな状況になって恥ずかしくなったのか男子生徒はいつの間にかいなくなっていた。