……というか、



「て、手離してよ……!」


「だーめ。こんな人混みで離したらはぐれるよ?」



力が緩むことなくしっかりと握られた手。



こっちはただでさえこの前のことがあってから旭にどういう顔すればいいのか分からずにいるのに。



こんなことされればさらに鼓動が速くなる。



「…それに言ったでしょ?
"昔みたいに手を繋いで見に行きたい"って」


「……っ」



あぁもう。
顔が熱くてどうにかなってしまいそう。



今の顔を見られたくなくて繋がれた手を見ながら旭のあとについていった。



顔の熱が冷めてきた頃に顔を上げると紺の生地に花火の模様が描かれた浴衣に黄色い帯をした七笑と浴衣姿の恵司さんがいた。