顔を上げると目の前に旭の顔があった。
思わず体を引きそうになったけど、旭の真剣な瞳に体が固まって動かなくなる。
栗色の澄んだ瞳には目を丸くした私しか映っていない。
そのまま瞳に吸い込まれてしまいそう。
「僕も美瑚と花火大会に行きたい。
昔手を繋いで一緒に見に行ったみたいに……だめ?」
「……っ」
なんでさっきの真剣な目つきとは裏腹に甘える子犬みたいな潤んだ目で私を見るの?
そんな風に言われたら断るものも断れなくなるじゃない。
「……か、勝手にすれば…っ!?」
「ありがと、美瑚」
「さりげなく寄りかかってこないで!」
そっぽを向いたら背中に寄りかかってきたから力一杯押し返してやった。