声をかけてくる…誰?

ちょっと離れた樹の横に、誰かいる

私の方を見ている

私は黒猫を抱いたまま、立ち上がる

その人は、ゆらりと樹の横を離れ、私に近

づく

結構な長身で、私と同じ高校の制服を着て

左手に包帯を巻いて、顔の左半分も包帯に

覆われ

右足を引きずりながら、ゆっくりと私に近

づく、その人

「りお、か…」

私の名前を呼ぶ…誰?

黒猫をそっと地面に置く

走り寄る、その人に、駆け寄る

顔が、歪む。笑っているの?

包帯で覆われていない、右目の上を見る

傷がある

「りおか…久しいのう」

私はしばらく呆然とする、そして右手で頬

をつねる