なにかしら、心のどこかに残っているし、

大事に残していかなければならないのだ

それは大切な思い出であり、同時に重荷で

もあるわけだけど…

…夕闇が迫り、ひぐらしが鳴き続けている

お腹減ったな…

帰ろ

私は自宅の方角に足を向け、歩き出す

…?

何だろう

何か、聞こえる

緩やかな風に乗って、それは聞こえてくる

今にも消えてしまいそうな、寂しく、切な

い、それは…

いや、気のせいか。風の音だろう

もしくは、幻聴か

歩き出した私の耳に、それはまた浸入して

くる

私はきびすを返し、走り出す

もと来た道を、走って戻る