「え、えっ、どこに?」

「アホ!決まっとうやろ、神社や!

あと一時間しかないんやろ?」

「う、うん…」

「あんた、一生後悔するで?

アタシもすぐ行くから、早よう!」

ぶつっ。通話が途絶える

私は部屋を飛び出し、階段を駆け降りる

「ああ、りおかあ?お風呂は?」

「お母さん、出掛けてくるっ!」

「ちょっと、ちょっと、りおかあ?」

お母さんの声が背後に聞こえる

家を出て、全速力で駆け出す

坂を下り、商店街を駆け抜ける

私の前を、誰かが走っている。

ミハルちゃんだ

「あ、りおちゃん!早う早う!」

「ミハルちゃん、どうしよう?はあはあ、

ど、どうしよう、テツ君が…テツ君が…」

「アホおっ!しゃべっとる、ヒマあったら、

走れっ!」