引き潮のように、ゆっくり、

私の宇宙もやがて色褪せ、闇に戻っていく

…音色が、止まっている

目を開ける。私たちの前には、見慣れた港

の風景

宇宙から、帰ってきたんだ

テツ君を見上げる。目を閉じて、荒い息を

している

額に汗が浮かんでいる

私は流れ出ている涙を拭い、テツ君を気遣



「テツ君…大丈夫?」

私を見て、不思議そうな表情を浮かべる

「りおかどの…拙者、一体?」

覚えていないの?

彼の額の汗を、ハンカチで拭いてあげる

私は先程、彼と体験したことを説明する

「…そうか、尺八を吹き始めたことは覚えて

おるが…」

彼は手に持った尺八を眺めて、不思議そう

に呟く