と深々と頭を下げ、サムライ君は出ていく

…行っちゃった…

お母さんはニコニコして

「今時礼儀正しい、ええ子やんか。イケメ

ンやし!お母さん、ファンになってしもた

わ。あんたら、付き合っとうんか?」

「え、そんな!そんなんちゃうよ!」

思わず私はカアッと熱くなり、全否定する

「まあまあこの子ったら、耳たぶまでまっ

かっかになっちゃって。初いやつよのう」

越後屋か。

…ああ、なんてお気楽な母…

「それにしても、あの子何か古い、昔の言

葉使いやなあ。おさむらいさんみたい」

いや、事実、サムライなんですけど

それより、明日、どうしよう?

学校の行き帰りはともかく、お休みの日に

二人で会って、街の中を歩いて…

…これって、デート?

この世に生を受け16年余、ついに訪れた青

春の試練?