どうしよう、どうしよう、どうしよう

何か、話さなきゃ

「あの、テツ君の、お母さんは?」

幕末に、残してきたはずだ

「死んだ」

「ええっ?」

「拙者が10歳のとき、流行り病で」

ああ、今で言う、伝染病でね…

「ご、ごめんね。

お父さんは?テツ君急にいなくなって、心配

しとうやろね?」

「ああ、父上は、切腹した

拙者が幼きころに、のう」

「そ、そう。変なこと聞いて、ごめんね」

本当に、私ったら、間の悪い…

昨日も「いい天気やね」っていった直後に

豪雨が降ってきたし

…豪雨で思い出した!

「あの、昨日はありがとうね、傘…」

私は机の上に置いていた、折り畳み傘を彼

に返す