生まれてから今まで、まともに男の子と会

話したことのない私にとって、それはまさ

に未知の世界…ザ・アンダーワールド、いや

違う、ワンダーワールド

「りおかどの」

「はっ、はいっ!」

「いかがした?深刻な顔つきをしておるぞ」

いきなりテツ君に話しかけられ、私は哲学

的な妄想から引き戻される

「い、いえ、別に…」

はあ、私って、マヌケ…

知らないうちに、思い詰めた表情をしてい

たらしい

「あの…」

「?」

「いい、天気やね?」

ポツ、ポツ、あ、雨が降ってきた

…………

そうこうするうち、私たちは坂道を降りき

り、商店街を抜ける