私、吉田なおにはちゃんと両親はいた。
そして二人の姉がいた
皆はふくよかで食べることが大好きで、私もよく食べていた。

月に1度の外食は必ず焼肉だった。
絶対食べ放題で元を取ると言うのが我が家のルール。
食べすぎて吐いたらその分たべろがまたルール。

食べてる時はワイワイと楽しいすごく幸せそうな家族、でもそれは表面だけ。。

小さい時はずっと家で怒声とモノが飛び交う生活だった。
標的は一番上の姉、香里

「香里!!また財布からお金とったでしょ!」
「だから何だってゆうんだよ!うるさい!」

もう慣れたやり取り

そっと近づいてくる二番目の姉、香奈
「なお、あっちで一緒にテレビ見よう?」

末っ子の私は姉たちと年が離れてた

香里とは9つ。香奈とは6つ

でも2人とは半分しか血が繋がってない。
種違いの妹、母からよくそう聞かされた


香里にも1度怒っているところを宥めてあげようと声をかけた時に
「お前なんか家族じゃない、妹じゃないんだから気安く近づくな」
って怒られたことがあったからそれから宥めに行くことはなくなった。

香里はよく財布からお金を抜いていた
母だけでなくおばあちゃん、おじいちゃんからも。
1000円とかならまだ可愛いんだけど、万単位を抜いていくから生活なんでできたものじゃなかった。

服だって買ってもらえない、朝ごはんなんか無い、お昼ご飯はおにぎり一つ、夜ご飯はミートボールとご飯だけ。

そんな毎日が私の中で当たり前だった。
香奈もだと思う。

香奈は大人しくて派手なことはしたことが無かった
いつも香里の八つ当たり相手だった
ボコボコに殴られて毎日泣いてた。

でもその当時5歳くらいの私には止める術なんかなかった
ただ見守るだけ。

私が一番怖かったのは香里じゃない、父だった
父の仕事は個人営業のパチンコ店の雇われ店長。

父が香里に怒ってる姿を見たから私は父が怖くて仕方なかった。

父は私の本当のお父さんだけど、香里と香奈は本当のお父さんじゃなくて戸籍上の関係だった
まだ父も若かったし子育てなんてちんぷんかんぷんだったから香里との接し方が分からなかったのかもしれない

だから香里も香奈もうまく馴染めなくて父のことを誠也くんって呼んでた

よく香里のこと殴ってたし髪の毛引きずり回したりはよくあった