「なぁ、杏奈。
…吾郎はそれを望んでると思うか?」
何を言われているのか分からなかった。
「…なに?」
作り笑いをやめて、龍を見る。
そこにいたのは、今までに無く悲しい顔をした龍だった。
「…そんな作り笑い見せられて喜ぶか?」
言っていることはもっともで、それなのに辛そうで、なのに声は優しくて。
「…やけどね、龍。
他にはなんにも出来んやん?
吾郎を蘇らせることも、喜ばせる事も、何もできん。
笑っててーなんて、そんなことできん。
愛した人を無くしてまで笑っていられるような強いひとでもない。
だからといって、死のうだなんて考える、弱い人間でもない。
やけんな、これでいいんよ、。
これで…いいんよ。」