ある日、杏奈が病室にやってきた。
あの後から、俺は入院してる。
「頑張ろうね」 「大丈夫だよ」
どれも優しい言葉なのに、俺にはもう未来なんてないんだと感じた。
だって、ほら。
頑張って治そうじゃなく、頑張ろう
大丈夫、治すから。じゃなくて、大丈夫。
もう、終わるんだ、そう思うには充分だった。
日に日に父は優しくなり、距離もさらに縮まった。
そうすると、自然に杏奈のことを話していた。
「俺にもね、愛する人ができたんだ。」
って。
「後悔なんてしてないよ」
って。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…