「杏奈。好き。」





瞳が少しも揺れなかったのはきっと、答えが決まっているからだろう?






少しくらい揺れてくれよ。






少しくらい考えてくれ…。






だけどな?






俺ももう子供じゃねぇから。






そのくらいの準備はできてた。






「ごめんなさい。






…私も龍のこと、好きだったよ。」






未練の残る様な言葉を残し、きみは背を向け走り出した。






俺は幸せで満ち溢れていた。






少しでもきみは俺を好きだったんだって。






「よかった。」







そう、空を見上げて涙した。