ストラップがゆらゆらと揺れた。

揺れが小さくなった時、零は微笑みながら聞いてきた。

「言い忘れていたけど、僕高2なんだ。

遥は?」

「私も高2だよ」

はじめ予想していた'同い年'が当たって私は心の中でガッツポーズを決めた。

零はこてんと首を傾げると私の方をジッと見てきた。

「どこ校なの?

言いたくなかったら別にいいよ」

返事に困った。

高校に行ってないとでも言った方がいいのだろうか。

そう考えていると、タイミングよく頼んでいたパンケーキが運ばれてきた。

生地の上にフルーツやらホイップクリームがのっている。カロリー高いんだろうな、なんてどうでもいい事を考えてさっきの質問はもう無視しようと考えた。

「カロリー高そうだけど、ここのお店低カロリースイーツ店だからきっと大丈夫だよ」

零は微笑みながら言った。

言いたくないことに気づいたのかな。

「そっか」と言う代わりに私はフォークとナイフを手にとってパンケーキをカットし口に運ぶ。

程よい甘さが口全体に広がる。

その優しい味は誰だって食べたらハマってしまうと思う。

「すごい美味しい」

「それはよかった」

人懐こそうな顔はいつも優しく笑っている。

優しい人なんだろうなって思う。

人と話すのは得意じゃないけど、零の優しく人懐こい雰囲気は何となく話しやすい感じがした。

「空、綺麗だね」

気まずくならないように会話が途切れないように零は違う話題に変えた。

零につられて私も窓の外を見る。

真っ青な空に点々と雲が浮いている。

いつも見ているような空だから綺麗だとは思わないが、零が言うには綺麗な空らしい。

空を二羽の鳥が横切る。

「いつもと同じ空じゃん」

そう言うと零は口元は微笑みながら首を横に振った。