学校で、先生が命の大切さについての授業をすると言ったとき、私はふと最近見たいくつかのテレビを思い出した。

「人は皆、平等」

そう、どこかのお偉いさんはテレビに語りかけていた。







いじめについて話をしているとき、眼鏡をかけて、髪を固めた、いかにも賢そうな人が、

「いじめのない社会は簡単につくれる。

いじめを受けている人がいるのならすぐ大人に相談しよう」

と言っているのも見た。

馬鹿みたいだと思った。

何も知らないのに分かったように言わないでよ。

心のなかでそう叫んだ。

いや、喉の元まででかかっていた。

けど、その言葉はため息に変わった。

ほんと臆病者。

今日の授業もそんな馬鹿みたいな話だった。

平等な世界なんて存在しない。

いじめのない社会なんて存在しない。

窓の外を見ると、いつまでも消えない飛行機雲があって、明日は雨だなって思った。

後ろからノートの切れ端が飛んできて、その切れ端に「死ね」なんて書いてあって。

私も飛行機雲と一緒に消えてしまいたい、そう思った。



この世界を二つに分けるとするなら、上と下。

勝者と敗者。

私は敗者の世界の人だ。