メモリーズ オブ ユー〔詩集〕

遠い遠い記憶の中を探りあてて

やっとあなたの名前を思い出したのよ

もうそれくらい私にとっては過去のこと

今さら悲しみにぬれるほど傷はない

あんなに愛おしかったモノは

月日の流れによって簡単に風化する

あきることのない時間の大切さも

退屈すぎて笑ったたそがれ時も

忘れてしまえばどうってことのない一瞬

振り返ることも出来ないくらい忙しい日々さえ

私を優しくつつみこむわ

私のこと好き?


聞けば、精一杯の愛で返してくれた。



今は瞳さえ交わらない。



変わらない結末に必死で胸に飛び込ぶ。


弱々しく抱き返すその腕に、涙はとまりそうにない。



笑顔で言わないでよ。



その顔が最後になるかもしれない。



帰り道一度も振り返らなかった。



手を振り続ける。



ゆらゆら揺れる影が。



目に焼き付いて離れない。

いつから気付いていた?
あなたを上手く愛せずに
傷つけてばかりいることに…

それでも離れられず
いつまでもお互い意地を張っていたのは
周りの世界に飛び出す勇気がなかったから

喜ぶことに慣れ
泣くことにも慣れ

きっかけを失い
別れに怯え

あなたを愛することを
忘れていった

もう戻れないと
もう終わりだと

いつから悟っていたのだろう
「それでもいいよ」
なんて言ったあたしを
強がりだと知りながら
彼は微笑むの
その優しさが好きだったのに
どうして?
今は淋しさ隠せない


星空を見て手を繋いで
二人笑い合った日々は
いつの間に遠い記憶
あたし達はかけがえのない一瞬だと気付きながら
瞳を閉じてしまうの
なぜ あの時
彼の言葉を聞き返すことが
出来なかったのだろう
彼のさいごの言葉を...




「懐かしい」
という曲の話題
思い出せもしないくせに
相槌をうってみる
この時間を少しでも
一緒にいたいから
隣で笑っていたいから


わざと遠回りして帰った
あの頃のように
守ってくれた背中
すぐそこにある
繋ぎとめておくことが愛しさだと思っていたけれど
夢はすぐ醒めてしまうの
なぜ 取り戻すことの出来ない
過去を見つめるのだろう
彼のさいごの横顔...
大切にしすぎた想いは
涙と一緒に渇いてゆく
私が投げかける言葉は
さっきからくだらないものばかり
枯れ葉が散る音の方が
綺麗に響いてしまう



こぼれおちる
パウダーブルー
どんな悲しみをみせても
弱さでは引き留められない
覆い隠すの
パウダーブルー
たったひとつ真実残して





思い通りにならない現実と
がむしゃらに得た嘘のカケラ
あなたの抱える問題は
いつも切なすぎて
埋めてしまった鍵穴は
もう二度と差し込められない



ごまかさないで
パウダーブルー
色褪せる記憶の中に
二人はまだあらわれない
つぎはぎだらけの
パウダーブルー
愛を醒ましたのは誰?




こぼれおちる
パウダーブルー
どんな悲しみをみせても
弱さでは引き留められない
覆い隠すの
パウダーブルー
たったひとつ真実残して

ふとした瞬間 ふとした場所で
ふとした言葉で思い出す


君の口ぐせ
君の笑顔
君の存在


どこにおいてきたのか
君の愛の言葉たち

どこに消えていったのか
私の悲しみ


全部全部
私の心の奥底に隠しています


そしてまた


ふとした瞬間 ふとした場所で
ふとした言葉で思い出す
笑いながら駆け回った通学路
気付けば懐かしいと言えるほど月日は流れ
どこまでも続くたんぼ道は今も変わらずに


幼い頃のように心から無邪気に笑えず
だけどだれかの幸せを願えるようになった





たんぽぽの綿毛を飛ばし語る夢
虹色の未来がすぐそこに見えた気がして
皆を見守っていた桜の木だけが姿を消した


知らないと素直に認めることが出来ず
だけど小さな喜びに気付けるようになった





ブランコと滑り台だけの公園も
こっそり作った秘密基地も
かがやく宝物





怖くて振り返ることが出来なくなって
それでも一番大切なあなたを守れるようになった
今は遠く離れて
見えない街ひとりきり
それでも想い続けたのは
君のことだけ


雲間から一筋の
太陽のぬくもりが
傍にいない人を愛しくさせ
どうしようもない




逢いたいと願うこと
とても簡単で

だから覚えたばかりの
歌口ずさむ





突然降り出す雨
いつになれば止むの

溢れ出す頼りのない
僕は今日だけ





ささやかなメロディー
聴こえているのかな
夢の中で微笑む君を
迎えにゆきたい





逢いたいと願うこと
とても簡単で

だから覚えたばかりの
歌口ずさむ





君と見る未来が
明日を導いてくれる

忘れない二人だけの
解けない約束

思い出せないと決め付けていた
あの日隠した楽譜
閉じっぱなしの鍵盤
触れてみれば蘇る
動く指先奏でる美しいメロディー


紛れ込む雑音も
そう ふたりなら
特別なハーモニー
あなたは弾いてくれた
震えかけた その続きを




シロとクロ私達変わらずここで
教えてくれた愛の歌の
わざと外した音も
欠けてしまった一つの音も
埋めてくれたのはあなたの優しさ


この先も一緒に
ねえ そばにいてね
何より幸せなの
あなたがくれた絆
指にはめた 揃いの光り