声かけられた時は凄くびっくりした。

「君だあれ?」

「え、ええと…」

僕をみて何か思い出したように話し出した。

「君ってもしかして天才少年ピアニストさんだよね!すごーい!この前てれびに出てた!まさか会えるなんて!」

「う、うん。そうだよ。この前てれびに出さしてもらったんだ…」

僕はその時から天才少年として紹介されていた。

父親が有名な作曲家だったため特にだった。

…本当はピアノも音楽も嫌いだった。

父さんが勝手に始めさせてそしたら人気になっただけ。

自分で求めてる音が出ない。

そんな不快感がピアノを弾いている時にはあった。

でも…そんなことも忘れられるような音だった。

その時だけは天才少年ピアニストと言われて嬉しかった。

「き、君ってヴァイオリン好きなの?」

「うん!大好きなんだ!細かい音をたっくさん出せるからすっごい楽しいんだよ!」

「そ、そっか。」

「君もピアノ好きなの?」