「まあ会ったことないし。よろしくな!
可愛いおふたりさん?」

来たよこいつ…だから会わせたくなかったんだ…

「こいつの言う事聞かなくていい。頭の中
お花畑だから。」

「ちょ?!酷すぎない?!俺達友達だろ?」

「微妙。」

「ちょ………」

「とりあえず一樹君!よろしくね!」

「そう言えば何かする前だったのか?俺も混ぜて
くれよ~」

早く出ていってくれないかな~

ピアノに集中出来ない。

「一樹。家から出てくれ。ピアノ弾くから。」

「さっすが天才少年ピアニスト~家で発表会か〜?」

「か、一樹君も見ていけば?」

「ほらほらー菜穂ちゃんもそう言ってるし~?
みていってもいいよね?」

こういう時の菜穂は可愛らしい凶器だな…

「わかったけど聞いたら出ていってくれ…」

俺は結局諦めてピアノを弾き始める。

大きな音。小さな音。

高い音。低い音。

全てを使いこなして一曲を紡ぎだす。

菜穂も環もびっくりしている。

今はそんな事も気にならない。



けれど…

菜穂は…思い出してくれそうになかった。