〜直也side〜

ここは丘の上のステージ。今ここで俺達は演奏をしている。

曲はもちろん…ラフマニノフピアノ協奏曲第二番だ。

ボロボロの楽譜を楽譜立てに立ててピアノ椅子に座る。

「菜穂。始めるよ。」

「…うん!」

俺はピアノの前奏を弾き始める。

原曲とはまた違う音が少しだけ混ざっていたりもした。

楽譜には俺が書き入れた音符も多かった。

その弾き方はもう慣れた。

面白い程俺も音楽にのめりこんでいく。

澄空も同じで俺達の演奏に見入っていた。

菜穂の演奏を久しぶりに聴いた。

昔と同じような感じさえする。

音も中盤にさしかかり細かく高音の音がピアノには増えてきていた。

ヴァイオリンは本当は低い音と高い音で組み合わせて出す音を菜穂はアレンジを入れてちゃんと1人でこなせるようになっている。

細かい旋律をたった2人で紡いでいく。

ピアノとヴァイオリンで支えあったりもした。

自分でも弾いているのか分からないぐらい上手くいっている。

本当に菜穂との相性はいいんだ。

ピアノの音もヴァイオリンの音もびっくりするぐらい合っている。

ミスも今のところ無い。

音は段々と険しくなっていく。