私は空いている教室が見つからずにさ迷っていた。
私は、神咲 梓(かんざき あずさ)。
足が途轍もなく遅く、気づいた時にはもう空いている教室は見つからなくなっていた。
すると、
『ジジッ…えー全ての教室が埋まりました。残っているみなさんは、誰かが教室を代わってくれることを期待しましょう。5分たったら、廊下にいる人を殺します。では。ブチッ』
っ…!?
い、嫌だよ…死にたくない…黒板みたいに体が破裂しちゃうの?
私は泣いた。
ガチャッガラガラ
顔を上げると、みんなに優しくて、いつも頼られているが、何故かスクールカーストが上の人達には嫌われている宮崎 静佳(みやざき しずか)が教室から顔を覗かせている。
「梓ちゃん?」
「静佳ちゃん…私…どうしよう…」
「梓ちゃんはここに入ってて」
なんと、自分がいた教室から出てきたのだ。
「え?!で、でも…そこから出たら死んじゃうんだよ?」
「いいよ」
「どうして…?」
「私ね、親から虐待を受けてるの」
そう言って、長袖を捲ると、色んなところにアザが出来ている。
「だから、生きててももう無駄なの。
それなら梓ちゃんにここを譲ったほうがいい。譲れば私が生きてる価値をやっと見いだせる。誰かに優しくすれば、生きることを認めてくれると思ってたけど、れい菜には嫌われるし、親には人と関わるなって言われるしもう嫌なの!」
私はかける言葉がなかった。
「だから梓ちゃん。私を助けると思ってここに入って」
そう言われるも、私は動けなかった。
すると、静佳ちゃんは、私を思いっ切り教室へと押した。
私は教室の中へ尻餅をついた。
「私の分まで生きてね…さよなら!」
そう言って、静佳は扉を締め、どこかへ行ってしまった。