その時だ。世界が暗くなったのは。
「わお」
「うっわぁ」
二人して気の抜けた声を上げる。二人ともさっぱり驚いていない。可笑しくて思わず笑った。ふへ。音にするならこんな感じだった。我ながら気が抜ける。
太陽の光が遮られて真っ暗になった世界の中で、死神は轟音を立てて窓から空を見上げる私の視界を埋め尽くしていく。死神はとうとう大気圏に突入。摩擦によって起こった発光で、世界は再び明るくなる。空振で窓ガラスがガタガタと音を立てた。
「とうとう最後で最期だよ。言い残したことは? 後悔は?」
私は口を開く。残り時間はそんなに残っていないであろう。じゅーう、きゅーう。そうやって数え始めて、残りが五秒を切った時だ。
「そうだね――君に好きだって言えなかったことかな」
「――わあ、奇遇だね」
こんな最期に、なんて発言!
自分の手の傍にあった幼馴染の御手々を拝借。ぎゅっと掴む。
そうして背中合わせの二人は笑った。今まさに、世界は終わりを迎えようとしていた。