「位置は右横だったよな?」



そう言うと大将はあたしの腰に
リボンを結びはじめた。




『覚えててくれたんだ。』





「お前…本当に春と競い合う気か?」




あたしの質問には答えず
逆にそう聞いてきた大将に
あたしはうなづいた。



「そうか。俺がスカイロードに入ったのは
安木自動車の固定概念に縛られたくなかったからだ。
お前のことは嫌いだけどスカイロードは好きだ。」




大将はちゃんと自分の好きなこと
やりたいことわかってるんだ。



『春はスカイロードにいること怒ってないの?』



「春と籍を入れるまでの1年間なら
って許してもらったよ。」




やっぱり結婚するんだ。



「ほら!行ってこい!
これはまだスタートだ!気を抜くなよ?」




大将に背中を押されてあたしは
前によろめいたけど後ろを振り向くと
大将が優しく微笑んでいた。




『行ってくるね!』




あたしはみんなのもとに走って向かった。
なんだかさっきまで鉛みたいに
ズンとした足が軽くかった。