恋の終わりと、愛の始まり


「いいの。今は、まだ好きだから」


拓馬をおいて、そのまま教室を出る。


彼の“仲の良い友達”は、二人で出掛けたり、ハグだって出来る仲。


少し、フレンドリー過ぎちゃうんだよね…


階段を降りて外に出ると、彼氏が他の女の子とキスをしてるの見かけた。


「…え?」

…嘘、でしょ…?


「…何してんの?」


思わず、あいつの元へ行って、尋ねた。


「げ!千春!!先帰れって言ったじゃん!!」


驚いたような、焦ったような彼の顔。


あ…。やっぱり。


「…浮気、してたんだ…。」


「…千春。悪いけど、別れてくんない?
やっぱさ、一人と付き合うとか無理だわ」


そっか。…そうだよね。分かってたけど、やっぱり、辛い…。



その時、急に後ろから手を掴まれた。


「お前なんか、こいつの方から願い下げだ!」


「…拓馬!?」


なぜか、正面から抱き締められるようになっていた。


「千春!行くぞ!!」


拓馬に手を握られ、そのまま彼の側を離れる。


「…何で、拓馬がいるの…?」


もう、訳が分からない…。


「えっ、と。千春が心配で…。」


心配してくれたんだ…。


「…ありがと。拓馬」


本当、すごく良い奴なんだよね…


「…あんな奴、やめろよ…」


拓馬が絞り出すような、小さな声で言う。


「…え?」


「俺だったら、浮気だってしないし、千春の事めちゃくちゃ大切にするし…。」


話ながら、真っ赤になる拓馬。


「…だから、その…。千春が好きだ!!」


…拓馬が、私を…?


「迷惑だろうけど…。どうしても、言いたかったんだ…!!」


「…迷惑なんかじゃないよ…」


拓馬につられて、顔が赤くなるのを感じた


「…拓馬。返事はさ、少し待ってもらえる?」


「…え!?もちろん…!」



まだ、新しい恋には踏み出せないけど…


拓馬を好きになる日は、そう遠くないみたい…


最悪な恋の終わりを経験したけど、新しい恋は、きっと、最高のものになる。


そして、その恋は…


いつかきっと。
     
              愛になる…。

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