あれから1週間。ついに卒業式だ。
朝は一人で歩いて登校した。両親はまだ寝ていたから見送りもしてもらえなかった。きっと彼らの中で私の存在はないに等しいのだろう。だから私も彼らを気にすることはないし、その必要もない。一人暮らしのような生活を送っている。

特に何か起こることもなく卒業式が終わる。もちろん今日も誰とも話さなかった。涙目で自撮りを始める女子たち。卒業証書の筒を振り回す男子たち。どいつもこいつもばかばかしい。私は騒がしい教室を出て、一人昇降口へと向かう。すると、後ろからバタバタと足音が近づいてくる。
『廊下は静かに歩けよ。』
心の中で思っていると、足音は私のすぐそばで止まり、足音の主が私の肩を叩いた。振り向くとそこには一人の男子が立っていた。