遊園地を出発した私は、朝焼けのセピア色の森を走っていた。


まだ早朝。
皆寝ているらしく、誰ともすれ違わない。




「何だか変な感じだな…」

馴れ親しんだこの森も、誰にも会わないというだけで、いつもと違う場所に見えてしまい不思議だ。




朝焼けが照らすセピア色の世界。


ひた走る私の靴音だけが響く。






これからロイのところへ行くんだ…。




“ロイに会える”


とても待ち望んでいたことなのに…。

なのに不安な気持ちに駆られるのはどうして?





脳裏に浮かぶロイの顔。
包帯で伺うことのできない瞳。


包帯の奥のその瞳は私のことを寂しげに、儚げに見据えているような気がしてならない…。




鳥籠の鍵を探しに行って、特にこれといった手掛かりも見つからなかった。


ただ、私は君のことを何も知らないんだと、思い知らされただけだったんだ。




ロイ…


君は何者なの……?




「――白い箱庭に囚われる君は…誰?」





光の道筋。


君の居場所へと繋がるこの光に身を任せて。