他の光に掻き消されてしまう程小さな光。
星屑は星になることのできなかった輝きの欠片。
「ソラ、久しぶりね」
私は後ろから響いた懐かしい声に喚声を上げる。
背中まである亜麻色の髪。凛とした鳶色の瞳。
絹の神秘的なドレスの丈は長く、足は裸足…。
存在自体が幻想的なこの女性、名前はセツ。
“星屑の泉”でよく竪琴を演奏している。
「セツさんは今日何しに?」
私が問うと、セツさんは綺麗に微笑み“星屑を拾いに”と答えた。
「ソラは何しに?」
セツさんは浮かんでは沈んでいく星屑を眺めながら私に問う。
そう、私が此処に来た目的は星屑をロイへのお土産に拾っていくこと。
「友達に星屑を持って行ってあげようと思って」
私が言うとセツさんは興味を示したように、身を乗り出した。
綺麗な長い睫毛…。
「星屑をプレゼントね…。ロマンチックじゃない。
その友達ってもしかして、セピア色の森の小ギツネちゃん?」
セピア色の森の小ギツネ…テトラのことだ。
「違いますよっ。
テトラに星屑は似合いませんって」
私が笑うと、セツさんは“あれ?違ったのか…”と首を捻った。