「幸実(ユキミ)~帰るよ」
「もう帰ったよ??」
「はっ!?」
唯一帰り道が同じの野浦佳澄(ノウラカスミ)が誘いに来たときにはもういない。
学校が終わると、部活もせずに消える。
それがわたし。
家に帰ってお手伝い??いやいや、とんでもない。
町に一軒しかない本屋に飛んでいき、出たばかりの少女漫画を、僅かばかりのお小遣いで買う。
我慢できずに途中の土手で座って読み浸る。
「…はああ~…幸せだ」
そう。
わたしは極度の人見知り。
客商売はおろか、友達も作らない。壁を作って寄せ付けない。
小学生の頃から馴染めない、溶け込めないことは自覚していた。
自分から声を掛けるなんて。
実在する人間なんて―――