思っていた以上に放任主義だったわたしの家族は、わたしと和平さんを残して翌朝早々にばたばたと引き上げてしまった。
そんなばかな。
とりあえず見送ったものの。
今この瞬間からふたりきりということになる。
「飯にしますか」
「えっ…でもわたし」
料理はあまり得意ではない。
いや、もっと言えば何もできない。見た目を裏切らない。
"意外と家庭的"でもない。
不器用なのは生まれつきで、裁縫をすれば針で刺して終わる。
包丁も同様、指を切って終わる。佳澄や菜月に止められて代わられる。
だからといって他に何ができるわけでも特技もない。
「食材ありゃあ、どうにでもなる」
「えっ……?」
頼もしい。
思わず指を絡めた手を顔の前に、目を潤ませた。