そして夕方。


「じゃあ、行ってくるわね」


「しっかりね!?お店頼んだわよ??」


「…………う、……はい」


力なくうな垂れる私。
一度にみんないなくなる。


バタバタと帰り支度をして、あるいは転勤の身支度をして。


「じゃあ、俺も帰りますんで。気を落とさないで」


和平さんも当然お役ごめんと帰りかけた。


「え"っ!?あっ、いやあのっ…」


咄嗟に上着の裾を掴んでいた。


「なにか…」


「………もう少し、もう少し………いて、いただけませんか」


思わず泣き腫らした目で見つめた。


「えっ……でも」


戸惑う和平さん。それはそうだろう。
辺りを見渡す。
みんな忙しそうでこちらに構う気配もない。


「………いいのか……??」


黙って、こくりと頷いた。