と、和平さんが襖をノックした。少し驚いて立ち上がって振り向くと、
「とりあえず居合わせちまったからには、葬儀には出た方がいいですね」
「えっ!?でも、喪服とか…」
「知り合いに連絡して、明日持ってきてもらうように頼みました」
「泊まる部屋も宿もないですよ??いいんですか??」
そんなことを言われても、と菜月が阻止しようとする。
得体の知れないよく知らない人間を、この家には泊めたくないようだ。
「でしょうね。そう思ってついでに車も手配しましたんで、車で寝ますよ。1日2日やそこら」
「何者……??」
妙に手回しのいい和平さんからわたしを庇うように出る菜月。
「とにかく!!この子には指一本触れないでくださいね!?あっ、私も既婚者なんで!!」
ポカンとする和平さん。
「…仰る意味がよく…」
背中に隠していたノートがバサッと足元に落ちる。