小夜子が勤務している人材派遣会社『ハッピーライフ』の代表取締役社長である由紀恵が揉めていたのだ。

「今さら謝りたいって、一体何なのよ!?

私を裏切って、浜島の方に回って一緒にいじめたくせに!」

声を荒げてヒステリックに怒鳴っている由紀恵に、
「それは本当に悪かったって思ってる。

でも、私の話を聞いて欲しいの」

彼女と揉めている女性の目は潤んでいた。

「お願いだから、私の話を聞いて。

私と話をして」

「聞きたくない!」

由紀恵は怒鳴り返すと、その場から立ち去った。

「ゆ、由紀恵…」

彼女はその場で、立ち去って行く由紀恵の後ろ姿を見つめることしかできなかった。

「な、何なんだろう…?」

呆然と、小夜子はその場で呟くことしかできなかった。