「マキのことを助けてくれる人がいたからなんすよー」

遠い昔の出来事に思いをはせるように、マキヨが言った。

「その子がいじめられていたマキを助けて、いじめっ子たちに強く言い返してくれたからマキは立ち直れたんすよー。

もし助けてくれる人がいなかったら、マキはどうなってたか今でもわかんないっすー」

アハハと声を出して笑ったマキヨだが、目が少しだけ潤んでいた。

「よかった、ですね…」

手を差し伸べてくれた存在がいたことに、愛香はホッと胸をなで下ろした。

「マキがこうして元気でいられるのは、その子のおかげっすー。

本当に感謝してるっすー」

マキヨが笑いながら言ってアイスを食べた時、
「おっと、スマホに着信が…」

そう言ってカバンからスマホを取り出して、愛香に視線を向けた。

「あっ、わかりました。

よろしかったら、アイスをお持ちします」

愛香がそう言ったので、
「じゃ、しくよろっすー」

マキヨは愛香に自分のアイスを渡した。