「つらいものがあったっすよー。

特に、お母さんにウソをつく時がつらかったっすー。

ボロボロになった傘を河原の土に埋めて濡れて帰ってきて、“川に落として流されちゃった”ってな感じでウソをついて…もうとにかくお母さんに心配をかけないようにウソをついたっすよー。

いじめられたのはつらかったっすけど…もっとつらかったのは、お母さんに心配をかけないようにウソをついたことが１番つらかったっすー」

マキヨはそう言って、おどけたように笑った。

「ああ、ごめんっすー。

こんなどうでもいいことを話して、白川ちゃんも気分を悪くしたっすよねー？」

マキヨは思い出して、慌てたように両手を前に出して謝った。

「いやー、申し訳ないっすー。

せっかくの晴れの日の服選びをしてるって言うのに、すまなかったっすー。

許してちょんまげ☆」

マキヨはテヘッと笑って、両手を使って後頭部にちょんまげを作った。