消極的で、自分からは何も話せないのに、私の名前は物凄く珍しい、というより派手なものだった。
所謂、キラキラネーム。
初めてみた人は何て読むのか分からない人がほとんど。
私自身もちょっと目付きが悪かったり、声が低めだから、よく怒ってるのかと聞かれる。
まぁ理由は多々あって、友達はあまりいない。
その日も、私は話しかけるなオーラなるものを放出していたらしく、必要以上に近寄られることはなかった。
…はずだった。
ガラリと大きな音を立て、貴方は教室に入ってきた。
今まで何やら話していた周りの男子達が、その姿を認識するなり駆け寄っていく。
「須田!はよ!」
「おー、西本はよ」
「何、お前遅くね?いつまで寝てんだよ」
「いや、昨日ゲームやってて寝んの遅くなった」
ぎゃはは、と明るい笑い声が一気に広がっていく。
空気が変わるっていうのかな。私とは、普段はあまり関係ないタイプの人種だ。
そう、普段は。
私は彼を知っている。いや、正確には、このクラスの何人かのことも。
小学校で一緒だった訳ではない彼らのことを知っている理由は唯一つ、保育園が一緒だったからに他ならない。
須田夙夜(すだしゅうや)。確か、私の前の出席番号の人物だ。
入学式で、席は出席番号順に並んでいるので、席も私の前になる。
そこに、彼はガタリと座った。
「あれ、首藤?
首藤だよな?」
まだ声変わりしていないのか、男子にしては高めのトーン。
自分に話しかけられるとは思っていなかったため、少なからず驚いた。