「今日はどうして?」


偶然、あの道で出会ったわけではなさそうだった。



あたしを呼ぶ宗の声も、あたしを見つめる宗の瞳も、物凄く落ち着いていて、たまたまあたしの姿を見つけたというよりは、あたしに会うために来たみたいだった。



「カナに会いたかったんだ」



「……でも、どうしてあたしがここに居るって?」



あたしは立ち上がり、飲み干してしまったビールの缶をゴミ箱へと捨てた。


そして、再び冷蔵庫からビールを取り出す。



「翔からカナの居場所を聞いた」


「翔?」



その名前を耳にしたのも3年ぶりだ。



翔は秀と同じようにあたしより一つ年上で、高校の時は暴走族に所属していた。


リーゼントを決め込んで、いつもあたし達を笑わせてくれた。



「翔とはずっと連絡を取ってたんだ」


「従兄弟だもんね」


「それもあるけど……翔はあんなことした俺の事を心配して探してくれた」


「そっか」



話しながら、時折見せる宗の苦笑いがあたしの胸を締め付けた。